フェデラー選手のサービスゲームが強い理由とは?徹底考察してみた
皆さんこんにちは。
今回はフェデラー選手のサービスゲームが強い理由について考察していきます。
きっかけはTwitterでとあるテニスアカウントの方のツイートでした。
この方はフェデラー選手のサーブが強い理由についてツイートしていました。
・フェデラー選手のサーブの球種は10種類以上
・フラット、スピン、スライスを緩急つけて変化
・ある一試合における最高時速と最低時速のデータを示す
ざっくり書くとこんな内容でした。要するにこの方は、フェデラーのサーブはフラット、スピン、スライスを緩急をつけると10種類以上あり、これがフェデラー選手のサーブが強い理由ということが言いたいのだと思います。少なくとも筆者はそう解釈しました。
これを見て筆者は疑問に思ったわけです。
「緩急をつけたら種類は増えるのか」
「本当にそれがサーブが強い理由なのか」
前置きが長くなりましたが、この疑問を解消するためにも今回は徹底的に考察していき、フェデラー選手のサーブの強さの要因を探ります。
フェデラー選手のサービスゲームが強い理由
疑問の解消
まず筆者の疑問についての結論を出したいと思います。
※ここは飛ばしてもらっても構いません。
筆者が知っている中でフェテラー選手のサーブの種類はフラット、スライス、スピン、キック(またはツイスト)の4種類だと思います。
ですが、この球種はフェデラー選手にしか打てないということはありません。プロの選手なら誰でも打てるはずですし、野球のピッチャーのようにそれぞれ持ち球があるということもないでしょう。
この他にサーブの球種はあるのでしょうか?
一応筆者が思いつく限り1つあります。リバースサーブです。2015年のUSオープンの練習時の動画ではフェデラー選手が打っているのを確認しました。ですが実際の試合ではまだ確認できていません。実践向きではないということだと思います。ですので今回は省きます。
ですので単純にサーブの種類は4種類ということになります。
※万が一他の球種があるという場合はコメントにて教えていただければ幸いです。
単に筆者が知らないだけの可能性があります。
そこで「緩急をつけて球種は増えるのが」という疑問です。この疑問の答えは緩急のつけ方にあります。
緩急をつける方法は
- スインクスピードを加減する
- スイングスピードはそのままでボールの回転量を調整する
- 緩急はあくまでもバリエーションであり、球種を増やすことはできない
- 球種は4種類あり、プロなら誰でもこの4種類を打つことが可能
- バリエーションを球種と捉えている可能性
となります。
つまり、フェデラー選手のサーブの強さの要因は他にあると考えられます。
次は2019年のフェデラー選手のサーブのデータを元に強さの要因を探ります。
データ①:サービスキープ率
試合においてサービスキープというのは重要なポイントになります。
前に筆者がTwitterでこうツイートしました。
【サービスキープの重要性】
— 🎾ロジャー・OIKAWA🎾 (@rogeroikawa) 2020年3月24日
試合において自分のサーブゲームはとても有利です。
勝つためにはいかに自分のサーブゲームをキープできるかが重要なポイントになります。
ですので、自分のサーブゲームでは常にキープすることに集中したほうが良いということになります。
要するに有利な展開で進められるサービスゲームをいかにキープできるかが勝負の鍵になります。試合の流れを考えた時に1つ自分のサーブゲームを落としただけでも流れを失いやすいですし、プロの世界ならもっとシビアになってきます。
そこでサービスキープ率というものがあります。このキープ率が高ければ高いほど試合を有利に進めることが出来ます。
2019年のフェデラーのサービスキープ率は91.3%で3位でした。ちなみにBIG3の中では1位です。
しかしサービスエースで考えるとそれほど高くない印象です。エースはイズナー選手やラオニッチ選手のようなビッグサーバーが取っています。
なぜフェデラー選手はビッグサーバーではないのにこれほどの高いキープ率を誇るのでしょうか。
これは次のセカンドサービスポイント獲得率とブレークポイントセーブ率を見れば明らかになります。
データ②:セカンドサービスポイント獲得率
フェデラー選手のセカンドサービスポイント獲得率は59.4%で2位です。
ちなみに1位はナダル選手の59.6%、3位はイズナー選手の57.3%、4位はジョコビッチ選手の57.0%、5位はラオニッチ選手の56.5%という結果になっています。
BIG3の選手がこのセカンドサービスポイント獲得率が高いことが分かります。
つまり、フェデラー選手のサービスはセカンドでもポイントが取れる力があるということになります。
データ③:ブレークポイントセーブ率
このブレークポイントセーブ率もフェデラー選手は70.9%で2位という結果です。
このブレークポイントセーブ率はBIG3の中でフェデラー選手しかトップ5に入っていません。
フェデラー選手は失点したらブレークを許してしまう場面においても回避する力があることがこのデータから分かります。
考察①:プレッシャーがかかる場面に強い
ここからデータの分析による考察をしていきます。
セカンドサービスポイント獲得率とブレークポイントセーブ率の高さから分かることは、フェデラー選手のサービスは、プレッシャーがかかる場面でも力を発揮するということです。セカンドサーブならダブルフォールトのプレッシャー、ブレークポイントでは失点したら相手に流れを与えてしまう可能性があるというプレッシャーがかかります。
はっきり言ってフェデラー選手のサービスはビッグサーバーのようなドッカンサーブではありません。しかし、プレッシャーがかかる場面でもキープのために良いサーブが打てることが彼の強さであり、キープ率が高い理由でもあるわけです。
考察②:どの場面でも同じフォーム、同じタイミングで打たれるサーブ
では、プレッシャーがかかる場面でもよいサーブを打ち続けられるのはなぜでしょう。
それはフェデラー選手のサーブの打ち方にあります。
通常であれば、球種によって、またはコースによってわずかにトスの位置が違ったり、特有の癖が現れたりします。
またタイミングも場面によって違ってきます。プレッシャーがかかる場面では打つまでの間を長く取つ選手も少なくありません。
ところがフェデラー選手のサーブフォームはどの球種、どのコースを打つにしても全部同じであり、どんな場面でも同じタイミングで打たれます。
常にリラックスをしているので力みがほとんどなく、無駄な動作もありません。
これはとてもすごいことで、プロでもできる選手は少ないです。特にタイミングまで一緒の選手はフェデラー選手位しかいないのではないでしょうか。
考察③:バリエーションが多彩
恐らく冒頭の話でとあるテニスアカウントの方はこのことを言いたかったのではないかと思いますが、フェデラー選手はバリエーションが多彩です。特にフェデラー選手はセカンドサーブでも攻めの展開を見せます。彼はしっかり厳しいコースを狙っていきサービスキープに専念します。セカンドサービスポイント獲得率がそれを物語っています。
フェデラー選手にとってファーストもセカンドも同じなのです。
考察④:相手に的を絞らせない
多彩なサーブのバリエーションを持ち、なおかつどの場面でも常に同じフォーム、同じタイミングでサーブを打つことが出来るフェデラー選手。
これは、相手に的を絞らせない状態を作ることが出来ます。相手は常に予測が難しい状態なので、万全の体勢でリターンを返すことが出来なくなります。
ですので、例えセカンドサーブの時でも、ブレイクポイントの時でも、プレッシャーのかかる場面においても、フェデラー選手は相手の的を絞らせない技術によって、ビックサーバーのようなサーブを打たなくてもキープ率が高いのです。
これがフェデラー選手のサーブの最大の特徴であり強さの理由だと筆者は考えます。
考察⑤:多彩で攻撃的なゲームメイク
フェデラー選手は上記の通りサーブの技術力が高いです。このサーブの技術力を軸に攻撃的なゲームメイクを展開しています。得意なフォアハンドの逆クロスやサーブ&ボレーなど、サーブだけでなく攻めの展開も実に多彩です。
サーブだけでなく、その後の展開力があるのもキープ率が高い理由と考えられます。
これはサーブの技術力がなせる業であると言えます。
まとめ
今回はフェデラー選手のサービスゲームが強い理由を考察しました。
フェデラー選手はビックサーバー並のサーブが打てるわけではありません。
しかし卓越したコントロール力と多彩なバリエーションを駆使して、どんな局面でも常に同じフォーム・タイミングでサーブを打ちます。
もちろんプレッシャーのかかった場面でも同じです。
そして相手に全く読ませることなく、万全な体勢で打たせません。
そうすることで次の展開も行いやすく、結果的にサービスキープ率がプロの中でもトップクラスを誇っています。
これらが考察した結果、フェデラー選手のサーブの強さであると考えられます。
緩急の件に関しては、上記の通り、単純にバリエーションの1つというのが筆者の考えです。
それから球種も4種類(リバースの合わせたら5種類)となります。いくら筆者が無知だとしても、さすがに10種類以上の球種はないと思います。
フェデラー選手のサーブ力は我々も見習いたいところです。
特にプレッシャーのかかった場面でもしっかりパフォーマンスを発揮できることは単純にメンタルが強いということではなく、しっかりした技術力というのがこの考察からも分かります。
しかしそれが分かったからといってすぐに実現できるほど簡単ではありません。
日々の練習の中でコツコツと身に着けるしかないのです。
最後になりますがこの言葉を贈ります。
「努力に逃げ道はない、努力を愛せ」
By ロジャー・フェデラー
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。