【テニス】多彩なプレーとリスク分散効果の関係
皆さんこんにちは。
今回は「多彩なプレーとリスク分散効果」についてお話ししたいと思います。
割と攻撃的なプレーヤーは知っておくと良いかと思います。
多彩なプレーとリスク分散効果の関係
多彩なプレー
まずは多彩なプレーとは何かから説明します。
多彩なプレーとは簡単に言うと,、引き出しの多さ、またはショットのバリエーションが豊富ということです。
よく多彩なプレーをすると、「相手にペースをつかませない」「相手のミスを誘う」「相手に予測させない」などといった効果があると言われます。
これは間違いではありません。
ちゃんとしたメリットです。
しかし、見方を変えるもう一つの側面が見えてきます。
それが「リスク分散効果」です。
ちなみに、多彩なプレーの対義語は単調なプレーです。
リスク分散効果
ではこのリスク分散効果について見ていきます。まず、ここで言うリスクとは「自滅」のことです。
自滅とはアンフォーストエラー(自発的なミス)が多くなり、それが原因で試合に負けることです。
これは「相手に楽をさせた状態で勝たせてしまう」ことになるので、負け方としては最悪と言えます。
アンフォーストエラーはネットミスだったり、チャンスボールのミス、ダブルフォルトをなどが該当します。
テニスはサッカーやバスケのようなものと違って、自分のミスがそのまま相手のポイントになってしまうので、ミスが多いとその分相手にとっては楽ということになります。
もちろん、技術が足りないからミスが多い、なのでミスを少なくするように練習で精度を上げることは必要です。
しかしながら、攻撃的なプレーをする方はどうしてもリスクが高いショットを打つ場面が出てきます。
なので多彩なプレーをすることで、理論上この自滅のリスクが小さくなるというのが今回のポイントになります。
分散効果の分かりやすい例:投資
実際、テニスとは関係ないですが、分散効果の分かりやすい例として投資が挙げられます。
投資をするときなどは分散投資、つまり、複数の銘柄に投資をするとリスク分散効果によって、単一投資よりリスクが小さくなるということもあります。
銘柄の収益率や株価は変動するので上昇するとき、下落する時があります。
なので単一投資をしていた場合には銘柄の収益率が上昇して高い収益率が得られる一方で、下落して損をしてしまう可能性もあります。
つまりハイリスクハイリターンってやつです。
しかし連動性がない銘柄同士の組み合わせで投資をすると、一方の銘柄が下落していても、もう一方の銘柄が上昇していれば全体としてのリスクは小さくなるわけです。
テニスにおける分散効果
これはテニスでも同じようなことが起こります。
テニスにも調子の概念は存在し、これは収益率や株価と同じように変動します。
もちろん調子の波が少ないと安定的ですが、調子の波が大きいとある時は調子が良く、またある時は調子が悪くアンフォーストエラーの率が高くなるということが起こります。
なので単調なテニスをしていると、好調の時は良いのですが、不調になるとアンフォーストエラーが多発して、自滅して負ける可能性が高くなるというわけです。
例えば、常に80%の力で打つプレーヤーがいたとしましょう。
このプレーヤーは調子の波が激しく、好調の時はウィナーの数が多くなりポイント獲得率が高く、不調の時はアンフォーストエラーの確率が上がると仮定します。
この状態で試合に出ると、単調なプレーになり、好調の時は問題ないですが、不調の時は、実力が同じ相手や下手をすると実力が下の相手にも自滅で負ける可能性が出てきます。
つまり、好調と不調の差(ばらつき)が多いと不安定ということになり、自滅のリスクが高い、すなわちハイリスクハイリターンということになります。
グラフがあるのでイメージとして理解しやすいかと思います。
しかし、80%だけではなく、50%の力で打ち分けることが出来たらどうでしょう?
このように、一方が下がっていても、もう一方が上がっていれば、リスクは分散されることになるので、80%の力のみで打っている時より自滅のリスクが逓減されます。
分かりやすいように今は2つのショットの組み合わせで説明していますが、実際はもっとたくさんあります。
新たに30%の力で打つショットも加えてみました。
30%の時はポイント獲得率は低いが、変動幅が低いので安定しています。
これを先ほどの80%、50%を組み合わせたものに加え、80%、50%、30%のポイント獲得率の期待値(ほぼ平均という意味)を取ったものが、紫の点線になります。
ここで、30%のショットのみでもリスクは低いので、これだけでも良いのではないかと考える方もいるかと思います。
しかし、紫の点線と比較すると、変動幅が同じ位なのでリスクが一緒でも、ポイント獲得率に差があり、紫の点線のほうがポイント獲得率が高いことが分かります。
このように分散効果によってリスクが下がるだけではなく、ショットによっては、ショットの種類が多ければ同じようなリスクでもポイント獲得率に差が生じる場合もあるのです。
最適なショットの種類
これまでの内容で分散効果についてなんとなく理解できたかと思います。
では実際にどのぐらい打てるショット数があると望ましいのでしょうか。
仮定として、1つのショットが不調になり自滅するリスクが30%になったとします。
ショットの種類が1つしかないと、全体のリスクは30%のままです。
しかし5種類打てるショットがあると全体のリスクは6%になります。
また10種類では全体のリスクは3%まで下がります。
このように打てるショットの種類が多くなればなるほど全体としてのリスクは下がっていきます。
しかし、やみくもにショットの種類を増やそうとすると、その分練習する必要があります。
確かにショットの種類が多くなればリスクが下がりますが、グラフを見ればわかるように、だんだん横ばいになってきます。
つまり、リスク分散効果が薄れてきているということになります。
なので練習量を多くしてまてむやみに打てるショットの数を増やしても、リスク分散効果が薄れあまり意味がない、ということで「無意味ゾーン」が存在しています。
反対に「リスクが高いゾーン」は文字通り、数が少ないとリスクが高いのでショットの種類としては不十分です。
ではどうすれば良いかというと、「最適ゾーン」の範囲で打てるショットの数を習得するのが望ましいでしょう。
だいたい5~15種類ぐらい(グラフだとちょっとズレていますが…)の範囲です。
留意点
ここまで、「多彩なプレーはリスク分散効果がある」ということを説明してきましたが、少し留意点も付け加えます。
①分散効果で自滅のリスクはゼロにならない
当たり前の話ですけど、結論から言うと自滅のリスクはゼロにはなりません。
理由は先ほどのグラフで説明できます。
このグラフでもわかる通り、打てるショットの数が多くなると、だんだん横ばいになります。
これは分散効果が薄れてくるからです。
そのため、リスク逓減には下限が存在するということになります。
どれだけ頑張っても自滅のリスクはゼロになりません。
②連動性を持った組み合わせだと分散効果が薄れる
このグラフを見ると、どちらも似たような動きをしています。
この場合は一方が下がった時、もう一方も似たように下がってしまいます。
このように連動性がある(正の相関関係が認められる)組み合わせは分散効果が薄いです。
例えばバックハンドが苦手である場合、スピンやフラットのようなインサイドアウトのスイングをするショットは連動する可能性があります。
しかしながら、分散しないよりかはしたほうがマシなのは変わりありません。
この二点が留意点になります。
まとめ
今回は理論上、多彩なプレーは自滅のリスク分散効果があるということをグラフを用いて長々と説明してみました。
色々と小難しい話もありましたが、私がお伝えしたいのは「多彩なプレーは自滅のリスク分散効果がある」ということですので、それが伝わればOKです。
また、現実的には自分の調子をグラフ化するというのはやらないので、あくまで理論的には可能だということで参考程度にしてくだざい。
感想などがあれば、コメント欄のほうにお願いします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。