「テニロジ」ブログ

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このブログではテニスについて理論的に考察していきます。また、テニスで悩んでいる方々のヒントになるような情報を発信していきます。

テニスにおけるトレードオフ

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皆さんこんにちは。

 

今回はテニスにおける「トレードオフ」についてです。

戦術を考える時、試合中におけるコース選択、ショット選択など、あらゆる判断をするときにこのトレードオフを知っておくと便利です。

 

 

 

トレードオフとは

まず、トレードオフについてです。聞いたことがある方もいると思います。

 

トレードオフとは、「何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係のこと」です。

 

主に経済用語で使われますが、日常生活でもトレードオフは発生しています。

例を挙げると、時間とお金です。

我々はお金が欲しかったら働きますが、働くと自由な時間を失います

反対に自由な時間が欲しかったら働きませんが、働かないとお金が貰えません。

 

このように我々は常にトレードオフに直面していて、何かを得るために別の何かを失っています。

 

テニスにおけるトレードオフ

なんとなくトレードオフについてお分かりいただけたでしょうか。

では、テニスにおいてどのような場合にトレードオフは発生しているのか考えてみます。

テニスの試合では、常に2択の判断をしてプレーを行い、ゲームを繰り広げています。その2択の判断とは攻めるプレーをするか守るプレーをするかというものです。

攻めのプレーは、角度のあるショット、ダウンザライン、エースを狙うなどが挙げられます。

守りのプレー、センタにボールを集める、高弾道のボールでつなぐなどが挙げられます。

あらゆる状況下においてこの2択を合理的に判断して、主導権を握ります。

もし、2択を合理的に判断できないと、状況は悪化しやすく、主導権を握られれる可能性かあります。

 

二択を合理的に判断するためにはテニスにおけるトレードオフの性質を理解する必要があります。

テニスのにおけるトレードオフの性質 

翻弄のしやすさ

テニスの攻めのプレ―は相手を翻弄しやすいです。ネットに詰めれば詰めるほど攻撃力が上がります。サーブ&ボレーは攻めのプレーの代表格ではないかと筆者は考えま

反対に守りのプレーは相手を翻弄しづらいです。ネットから遠ざかれば遠ざかるほど守備力が上がります。

 

安全性
ここでいう安全性とはアンフォーストエラー(自分に原因があるミス)をするかどうかのことです安全性が高いとアンフォーストエラーの確率が低下し、安全性が低いとアンフォーストエラーの確率が上昇します。

基本的に、 攻めのプレーでは安全性が低く守りのプレーでは安全性が高くなります。

 

それを踏まえてテニスにおけるトレードオフ

 

攻めのプレーを選択すると相手を翻弄しやすいが安全性を失い(リスク↑)、守りのプレーを選択すると安全性を得る(リスク↓)が相手を翻弄しにくい

 

となります。

 

このトレードオフを理解すると、あらゆる状況下で合理的な判断をしやすくなります。

 

次はテニスの様々な状況において、このトレードオフの性質を用いて判断するとどうなるのか考えます。

 

テニスの様々な状況とトレードオフを用いた判断

テニスの状況は大きく分けると2つあります。その2つとは「優勢」「劣勢」です。

優勢とは自分に流れが来ている、主導権を握っている状況です。

反対に劣勢とは自分に流れが来ていない、主導権を握られている状況です。

 

それぞれの状況下でトレードオフの性質を用いた合理的な判断をするとこうなります。

 

①1ポイント間におけるゲーム展開の優劣

例えばラリー中を思い出してください。ラリー中では優劣が頻繁に変わり、ゲーム展開に影響を及ぼします。なので優劣の見極めが大事になってきます。

1ポイント間におけるゲーム展開の優劣の見極めは、ボールが甘くなる時(ボールが浮く、浅くなるなど)と考えてください。相手のボールが甘くなれは自分が優勢になり、自分のボールが甘くなれば劣勢になります。

自分が優勢の時

攻めのプレーを選択:

リスクが高くても相手を翻弄し、ポイントの獲得率を上げることができるので合理的。

守りのプレーを選択:

相手を翻弄しづらくなり、ポイントの獲得率が下がるので合理的ではない。

自分が劣勢の時

守りのプレーを選択:

ピンチの中で安全性を確保しやすいので合理的。

攻めのプレーを選択:

ピンチの中でさらにリスクをかけることになるので、合理的ではない。

テニスでは、この判断が基本になります。

②カウントの優劣

またカウント、ゲームカウント、セットカウントにも優劣があります。

これらは1ポイント間におけるゲーム展開とは違って、客観的な数値で優劣が判断できます。

しかし、カウント、ゲームカウント、セットカウントの優劣の場合、2択の判断は基本的に劣勢の時に注意を払わないといけません。

自分がカウントで優勢の時

攻めのプレーを選択しても、守りのプレーを選択しても問題ないが、攻めのプレーをしたほうが合理的。


自分がカウントで劣勢の時

守りのプレーを選択:

安全性を確保しやく、挽回の余地があるので合理的。

攻めのプレーを選択:

ピンチの状況でさらにリスクをかけることになり、状況が悪化しやすい。さらにゲームポイント、セットポイント、マッチポイントを落としやすいので、合理的ではない。

③サーブゲームの優劣

テニスにおいて、サービスキープ率が勝敗を左右します。基本的にサーブゲームはサーブで相手のリターンが甘くなりやすいので優勢ですリターンゲームは自分のリターンが甘くなりやすいで劣勢です。

しかし、2択の判断はサーブゲームの時注意が必要ですなぜなら、サーブキープができないと試合全体の流れが悪くなり負ける可能性が高まるからです。

自分がサーブゲームの場合

攻めのプレーを選択:

リスクが高くても相手を翻弄し、サービスキープ率を上げることができるので合理的。
守りのプレーを選択:

相手を翻弄しづらくなり、サービスキープ率が下がるので合理的ではない。

自分がリターンゲームの場合

攻めのプレーを選択しても、守りのプレーを選択しても問題ないが、守りのプレーを選択したほうが合理的。

 

まとめ

今回のまとめをすると、

トレードオフとは、「何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係のこと

・テニスにおけるトレードオフは、
 攻めのプレーを選択すると相手を翻弄しやすいが安全性を失い(リスク↑)、守りのプレーを選択すると安全性を得る(リスク↓)が相手を翻弄しにくい

トレードオフを理解すると、あらゆる状況下(優勢か劣勢)で合理的な判断(攻めか守り)をしやすくなる。

優勢の時は攻めのプレー、劣勢の時は守りのプレーを選択すると合理的。

カウントが劣勢の時サーブゲーム(優勢)の時注意して判断する。

となりました。

 

テニスの試合で勝つ人は、単に技術が高いわけではなく、このトレードオフを理解し、しっかり合理的に判断してプレーしています。

特に接戦においては、相手との実力差はほぼ等しいので、合理的に判断できるかが一つのポイントになります。

接戦で勝てないという方はぜひ参考にしていただけたらと思います。

 

※2020年4月24日更新

この記事の質問に対する回答です。

rogeroikawa.hatenablog.com

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。