「テニロジ」ブログ

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このブログではテニスについて理論的に考察していきます。また、テニスで悩んでいる方々のヒントになるような情報を発信していきます。

【質疑応答】テニスにおけるトレードオフについて

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皆さんこんにちは。

 

今回はブログのコメントで質問が来たのでその解答をしようと思います。

 

と、その前に、約3週間ブログの更新がありませんでしたが実は現在、実家に帰省中なのですが家にWi-Fiがなくパソコンが使えなかったので更新が出来ませんでした。

 

昨日からポケットWi-Fiを使用し始め、ブログを再開し、新たな記事を書いているところです。

 

そんな中、以前に投降した記事のコメントに質問が届いていました。残念ながらこのブログではコメントに返信することが出来ないようなので、この記事で回答したいと思います。

 

さて、質問は、以前投降した「テニスにおけるトレードオフ」に対してです。

 

rogeroikawa.hatenablog.com

 

質問の内容:

ここには「相手の気持ち」が含まれていません。自分で守備的なプレーを選択していても、それが相手には攻められるよりも嫌な場面も多くあると思います。それを理解して敢えて攻撃的にいかず、相手のメンタルや体力にダメージを与え、ゲームトータルをマネジメントして勝利するパターンはどうお考えでしょうか。

とても鋭い質問です。

 

要するにこの方の質問の意図としては、守備的なプレーは単純に攻撃に対する防御ではなく、相手に一方的に攻めさせる状況を作り嫌な思いをさせることが出来るので、対戦相手の心理によっても攻守を判断できるのでは?という意味だと思います。

 

解答する前にもう一度トレードオフの考え方を整理します。

 

トレードオフはもともと経済用語で使われ、意味は「何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係」です。

 

そして私はテニスにもその考えが当てはまるのではないかと思い、導き出した結論が

「攻めのプレーでを選択すると相手を翻弄しやすいが安全性を失い(リスク↑)、守りのプレーを選択すると安全性を得る(リスク↓)が相手を翻弄しにくい」

という関係性です。

 

このトレードオフを使いテニスのあらゆる状況を判断するのですが、テニスの状況は色々なパターンがあり細かく考えるのが大変です。なのでテニスの状況を大きく「優勢」「劣勢」に分けます。

 

そして、自分が優勢か劣勢かのいずれかの状況のなかで先ほどのトレードオフを生かし、攻守を決めることで余計なリスクを背負うことなく、合理的判断することが出来るという考え方です。

 

それを踏まえて、この考えのポイントは

  • 余計なリスクをかけない
  • 「優劣」のいずれかの状況で「攻守」の判断を合理的に行うこと
  • そのために自分が置かれている状況が優勢か劣勢かを「客観的に判断する」こと

になります。

質問者の考えは恐らく「心理的な優劣」で攻守を決められるのではないか、ということだと思います。

ずっと守備的なプレーをして、相手に嫌な思いをさせ、メンタルブレイクを引き起こせば完全に自分のほうが心理的には優勢になるので確かに一理あります。

しかしここでの優劣の判断は「客観的に判断する」ことです。

例えばカウントで5-2であるとすると、どちらが優勢かどうかは客観的に判断できます。

相手の心理と自分の心理、どちらが優勢か客観的に判断できるかといったら「微妙である」というのが私の見解です。

例えば、相手が明らかにイライラした態度をとっていたら自分の方が心理的に上ということがわかります。ですが相手がポーカーフェイスで心理的にどちらが優勢か判断できない時もあります。つまり対戦相手によって同じように嫌なプレーをしても心理的に有利になるかどうかは毎回客観的に判断しにくいことになります。

自分が心理的に優勢だったとしてもカウントが3-5などで劣勢であれは結局のところリスクの取り方というのは別問題になると思います。

要するに「心理的な優劣」と客観的に判断できる「物理的な優劣」ではリスクの取り方(攻守の判断)が異なるということです。

 

このトレードオフの考え方は上記の通り

「客観的に優劣を判断して、攻守を合理的に決めることで余計なリスクを減らす」

ことです。

トレードオフの考え方はどのプレースタイルでも、どの年齢層でも、試合展開の中で使えるものです。

結果的に守備的なプレーを選択し、相手のメンタルブレイクを引き起こすこともあると思いますが、最初から心理的な優劣で判断したプレーはここのトレードオフの考え方とは異なるというのが私の見解になります。

 

ここまで長くなりましたが質問の答えとして、

「敢えて攻撃的にいかず、相手のメンタルや体力にダメージを与え、ゲームトータルをマネジメントして勝利するパターン」に関しては、心理的な優劣に基づく攻守の判断によって、自分はリスクを取らず、相手に一方的にリスクを負わせ、自滅させるやり方なのでテニスの戦術的には立派な作戦である。

しかし、ここでのトレードオフの考えは、あくまで「客観的に優劣を判断して、攻守を合理的に決めることで余計なリスクを減らす」ことなので、客観的に判断しにくい心理的な優劣で攻守を判断するやり方は、考えに当てはまらない。

理由としては「心理的な優劣」と客観的に判断できる「物理的な優劣」ではリスクの取り方(攻守の判断)が異なるから。 

したがって「相手の気持ち」はこのトレードオフの考えには含めない。

 とさせていただきます。

このトレードオフの考えに当てはまらないだけで、「心理的な優劣」で攻守を判断するやり方は別理論としてなら非常に理にかなっています。

またこのトレードオフの考え方は完ぺきな理論構築が出来ているとは言えず、議論の余地があると思いますのでコメントなどで質問していただけるとうれしいです。

今後の解答に関しては今回のように記事でお答えします。

 

質問者にはこういった鋭い質問をしていただいたのでとても感謝しています。

ありがとうごさいました。