「テニロジ」ブログ

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このブログではテニスについて理論的に考察していきます。また、テニスで悩んでいる方々のヒントになるような情報を発信していきます。

【テニス】ボールに回転がかかる仕組み

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皆さんこんにちは。

 

今回はテニスにおいてボールに回転がかかる仕組みについてです。

 

この仕組みは知らなくてもプレー自体にはほぼ支障がありませんが、知っておくと「いかにインパクトが大事か」ということが理解できると思います。

 

ではさっそく説明していきたいと思います。

 

※2000.7.14 記事の一部を修正、再編集しました。

 

 

【テニス】ボールにボールに回転がかかる仕組み

皆さんはテニスラケットでボールを打った場合に回転がかかる仕組みは何だと思いますか?

スイングスピード?摩擦?

恐らく色々な見解があると思います。

 

しかし仕組みはいたってシンプルです。

それは「スナップバック」と呼ばれるものです。

初めてそんな名前を聞いたという方のためにも詳しく説明していきます。

スナップバックの前に、、物理の話

少し物理の話になります。

まず、ボールに回転を与えるには、接線力が必要です。

この接線力は半径に対して垂直に働き、点Oを中心としてボールを回転させる作用があります。

このボールを回転させる作用のことを「モーメント」と言います。

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この記事の修正前は「ボールに回転がかかる原理」としてスナップバック理論を用いていましたが、Twitterにアップしたところ、ご指摘を受けました。

この「原理」という言葉が不適切であったこと、それによって誤解が生じてしまったことは大変申し訳なかったです。

なので、この物理の話をこの記事に盛り込んでみました。こっちの方が原理に近いです。

スナップバック

スナップバック」を簡単に説明すると、ボールがストリングに当たった時に縦糸がずれて、それが戻る反動(スナップバック)によってボールに回転を与えることが出来るということです。

 

文章では伝わりにくいと思うので、図を用いて説明します。

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※少し雑な図になりましたが許してください(笑)

このようにボールがインパクトしたときに大体3~5本ぐらいのストリングがずれます。ラケットが横になっているので横糸のように見えますが、実際はラケットの縦糸がずれています。

ストリングにはテンションがかかっているので、ずれると張力が働き元に戻ろうとします。

 その戻る力がボールに伝わり回転や球威を与えているというわけです。

 

物理の話に戻ると、ボールに回転を与えるのは「接線力」というわけですが、この接線力は、ラケットで打球した場合、「スナップバック」が当てはまり、この接線力に大きく貢献しています。

インパクト時はボールが潰れ、スナップバックにより接線力が加わり、ボールを回転させる作用(モーメント)が働き、結果としてスピンやスライスがかかっているのです。

これがテニスにおいてボールに回転を与える仕組みになります。

 

なお、このスナップバック理論は実際に検証がなされているので、ラケットで打球した場合はこのスナップバックが主要因で回転がかかっていると考えられ、摩擦などによるものではないと断言しておきます。

 

ラケットメーカーがこれを元に、スピンがかかりやすいラケット(縦糸の本数を少なめにしている)を作っていることもあるので、スナップバック理論を覆すことは現段階では難しいです。

 

また、ストリングはつるつるしている方が、ストリングの摩擦が小さくなるので、スナップバックが起きやすいです。

 スナップバックが起こらないと…

インパクト時にスナップバックが起こらないとどうなるでしょうか?

 

当然回転がかかりにくくなります。

 

回転がかかりにくくなるとアウトボールが多くなりやすいです。

アウトボールになる多くは他の原因が考えられますが、このスナップバックがしっかり行わているかも確認事項の1つです。

 

補足:ストリングの寿命

ストリングの寿命の話になりますが、一般的には1週間程度と言われています。

でもなぜこんなに早く寿命が来てしまうのでしょうか?

これも、スナップバックが分かっていれば説明できます。

張りたてのストリングは張力が保たれていて、ストリングの表面には何もないので、スナップバックが起こりやすい状態です。

しかし、打球していくとだんだん張力が緩み、ストリングにはノッチという溝が出来ます。張力が緩むと戻る力が弱まり、なおかつノッチの影響でスナップバックが起こりにくい状態になります。この状態になるのが大体1週間ということになります。

なのでストリングを張ってからの「寿命」というのは、「スナップバックが起こりやすい状態の期限」と言い換えることが出来るわけです。

 

まとめ

今回はなぜボールには回転がかかるのかに焦点を当てて、スナップバックを用いて、その仕組みを説明してみました。

このスナップバックは「インパクト」時に起こるので、あまり回転をかけ過ぎようスイングせずに厚い当たりを意識した方が自然に回転がかかります。

また、スナップバックも、ラケットの形やガットの種類などで変化するので、自分にあった組み合わせを見つけることが大事です。

新ブログの予告

7月中旬をめどに新しいブログを立ち上げる予定です。

私のイップスになった体験をブログにします。

ぜひ新ブログの方も読んでいただきたいです。

こちらのテニロジブログは少し趣向を変えて、考え方や戦術をメインに扱っていきます。

もちろん今まで通りの内容も扱っていきます。

私事ではありますが、これからもよろしくお願いします!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

参考文献

⑴川副研究室 テニスラケットの科学

https://kawazoe-lab.com

⑵卓球の物理学モーメントと球の回転

www.pp-physics.com